恒川医院
新築/診療所(内科、小児科、眼科、放射線科)併用住宅
「繋ぐ」
現在まで30年以上診察を続けてきた愛着のあるクリニックの建て替えにあたっては、先生にとっても患者さんにとっても様々な思いが交錯することと思います。
そのような思いをどのように受け止めて、この先どのように次世代に繋いでいくかが設計の最大のテーマとなりました。
それは、建物の形や色をただ似たようなものにすればよいのか、というとそうではないと我々は考えます。
建物の配置や平面計画、窓や植栽の配置、既存物の再使用など、旧医院を知る人々の記憶を留める様々な「装置」を配しながら、新しい材料や工法、デザインを取り入れました。
現代のニーズに合わせて建物の形や色、大きさが変わっても、そのような「装置」の集合によって醸し出される建物全体の雰囲気が、旧クリニックの記憶を引き継ぎながらも新しいものを取り入れ次世代に繋がっていくでしょう。
また、建て替えにあたり、既存医院リフォームとの比較や仮診療所の建設、公共下水工事との調整等、 問題点・検討事項は多岐に渡りましたが、関係者が一丸となって取り組みながら、それらの一つ一つを 解決していくことでこのクリニックは完成しました。
今までクリニックとともに同じ道を歩んできた大きな松の木は、建て替えを経た今でも変わらずクリニックを温かく見守っています。