2025.04.28(Mon)
三重県鈴鹿市「いしが在宅ケアクリニック鈴鹿」―地域に寄り添う、静謐な在宅医療の場
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三重県鈴鹿市に昨年開院した「いしが在宅ケアクリニック鈴鹿」は、屋根一体型の太陽光発電システムを採用した先進的な設計と、木造に鉄骨梁を一部組み合わせた合理的な構造によって、建築コストの高騰に配慮しながらも、開放的で象徴的な大屋根の意匠を実現した医療施設です。意匠性と機能性、そして地域性を丁寧に融合させたこのクリニックは、これからの地域医療の新たなモデルとして注目されています。




弊社は、2020年に同法人の四日市本院の設計監理も担当いたしました。理事長の独創的な発想を建築的に昇華させたその計画に続き、今回は“地域とともにある医療”という姿勢をより色濃く反映したプロジェクトとなっています。とりわけ、緩和ケアを必要とする利用者とそのご家族が、穏やかな時間を過ごせるよう、静けさとぬくもりに満ちた空間づくりを心がけました。



内部の仕上げには、鈴鹿の土を用いた名栗仕上げ風の手彫り土壁を随所に採用。地元のこだわりをもつ職人の手仕事が生み出す陰影の移ろいは、時間とともに表情を変え、空間に奥行きと柔らかさをもたらします。素材のもつ静かな力が、不安を抱える利用者の心にそっと寄り添い、医療と建築が一体となって「やすらぎ」を提供することを目指しました。




「いしが在宅ケアクリニック鈴鹿」はすでに多くの支持をいただき、地域の在宅医療の拠点として貢献をはじめています。今後も、地域に根ざしながら、長く愛される医療施設であり続けることを願ってやみません。
